森郁子句碑

森郁子句碑は、和歌山県高野山普賢院にある。
石碑には次のように刻されている。
 朴咲くと聞けば高野に帰りたく 郁子

山陰石楠氏「高野山の句碑・歌碑 第17回 森郁子」では、次のように紹介されている。
 高野山を中心に周辺の集落には朴の木が多い。むかし木地師がろくろを使って、朴の木で椀や木皿を刳り、寺院の用に供していたらしい。
初夏の頃、山中にしらじらと咲く大輪の白華はこよなく美しい。
 昭和四十九年、森郁子さんはかりそめの病を得、住み馴れた高野山を下って入院療養の日々を送るようになった。
ある日、高野山から見舞いに訪れた人が、
「もう朴の花が咲いています。お寺の裏山の朴も、女人堂の谷の方朴も、馥郁と香りながら白い花を天に向って捧げています。」
と問わず語りに話してくれた。
あゝ一日も早く高野に帰りたい、山中に楚々と咲く朴の花が見たい。あの香り高い朴の木の木陰に立ってみたい-そんな願いも空しく、郁子さんは再び高野に帰ることはなかった。
 森 郁子、普賢院先住森寛紹(俳号 白象)前官夫人。句碑は同院裏山中腹に建つ。
                  解説 山陰石楠

朴の木(ホオノキ)は、モクレン科の落葉高木で、5月~7月に径20cmに達する大きな淡黄白色花を開き、強い芳香を放つ。
日本の固有種で山野に普通に生え、南千島、北海道から九州の温帯~暖帯上部に分布している。
朴は、高級有用材で、柔らかく狂いが少ないため、家具調度品などに用いられるほか、漢方では鎮痛などの治療に使われる。


       (出典 平凡社 世界大百科事典)



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