泡子塚西行水

泡子塚西行水は、滋賀県米原市の中仙道醒井宿にある。
中仙道醒井宿は、日本武尊の熱を醒ました伝説の清水「居醒の清水」の清流で知られる。
近江名所図会に「この(醒井)駅に三水四石の名所あり、町中に流れありて、いたって清し、寒暑に増減なし」と記されている。
三水とは、居醒清水、西行水、十王水を指し、四石とは、日本武尊が腰を掛けたという腰掛石、鞍を置いたという鞍掛石、蟹の形の蟹石、加茂明神が影向したという影向石をいう。
西行水は、西行法師ゆかりの泡子塚の伝説が語り伝えられている。
西行水の岩の上に、仁安三戊子年秋建立の五輪塔があり、
「一煎一服一期終即今端的雲客泡」の十四文字が刻まれている。
伝説では、西行法師東遊のとき、この泉の畔で休憩したところ、茶店の娘が西行に恋をして、
西行の立った後に飲み残しの茶の泡を飲むと、不思議にも懐妊して、男の子を出産した。
その後西行法師が関東からの帰途またこの茶店で休憩した時、娘からことの一部始終を聞き、児を熟視して
「今一滴の泡変じてこれ児となる、もし我が子ならば元の泡に帰れ」と祈り、
 水上は 清き流れの醒井に
  浮世の垢をすすぎてやみん
と詠むと、児は忽ち消えて、元の泡となった。西行は実に我が子なりと、ここに石塔を建てたという。
今も、このあたりの小字名を、児醒井という。
JR東海道本線醒ヶ井駅下車、徒歩10分。


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