百毫寺は、奈良市高円山の西麓にある真言律宗の寺院である。
寺名の「白毫」というのは、仏の眉間にあって常に光明を発したという白い毛のことで、仏像では珠玉などによってこれをあらわしている。
開基は諸説あるが、天智天皇の第7皇子志貴親王の離宮の跡に建てられたとの説もある。
平安遷都とともに寺勢は衰えたが、鎌倉中期に真言律宗を興した興正菩薩叡尊が再興に力を注いだ。
その後1261年叡尊の弟子道照が、中国から持ち帰った「宋版一切経」を経蔵に納めて、4月の法要でそれをあげたところから、「一切経寺」と呼ばれるようになった。
当時奈良の町では、「寒さの果ても彼岸まで、まだあるわいな一切経」とうたわれた。
本尊は、木造阿弥陀如来坐像で、木造閻魔王坐像も鋭い眼光と憤怒の形相で宝蔵に安置されている。
境内からは、奈良盆地を一望でき、春には樹齢450年の五色椿の花を鑑賞できる。
近鉄奈良駅から市内循環バス「高畑町」下車、徒歩20分。