長栄寺は、大阪府東大阪市にある新真言宗の総本山である。
寺伝によると聖徳太子の開創で、その後荒廃していたが、慈雲尊者(1718-1804)が27歳の時に当寺に来て止住し、正法律の復興を唱えて道場とした。
その後、慈雲尊者は、有馬、長尾の滝、京都、河南高貴寺等に転住したが、大坂における説法は当寺で行われたという。
本尊の木造十一面観音立像は、平安時代後期の作といわれる檜材一木造りの直立像(106.6cm)で、本堂厨子内に秘仏としてまつられている。
頭部と衣紋の表現に藤原様式を残すことから、昭和45年に大阪府の指定文化財となっている。
境内北側には、禅那台がある。
禅那台は、宝暦8年(1758)に慈雲尊者が、生駒山中額田谷の長尾の滝上流に隠棲し、修行のために建てた雙龍庵の遺構の一つである。
慈雲尊者は41歳から54歳までこの建物で過ごした。
二間半四方の入母屋造り、茅葺の建物で、内部の中央には二畳の禅室がある。
禅室西側には、五景窓と呼ばれる円窓が大きく開き、生駒山中にあった当時は、この窓から河内平野が一望されたという。
雙龍庵禅那台は、その後、維持するのが困難となったため、尊者ゆかりの長栄寺に方位を旧態に倣って移築され、長栄寺禅那台となった。
昭和45年に大阪府の文化財に指定されている。
近鉄大阪線河内永和駅、JRおおさか東線河内永和駅下車、徒歩10分。