大念佛寺は、大阪市平野区にある融通念佛宗の総本山である。
大源山諸仏護念院大念佛寺と号し、俗に亀鉦寺(かめがねでら)と称する。
融通念佛とは、一人の念仏がすべての人(一切人)におよび、ともどもに念仏を唱和する中に、阿弥陀如来の本願力と自分と一切人と念仏の功徳が、互いに融通して絶大な力になると教えるものである。
この地は、坂上氏の菩提所修楽寺別院であったが、1127年に開祖聖應大師良忍上人が鳥羽上皇の勅願により、念仏の根本道場を創建した。
本尊は、画像十一尊天得如来である。
現在の本堂は1938年の建立で、大阪府内で最大規模の木造建築物である。
寺宝に、菅原道真が、中国の毛詩(詩経)を写したとされる毛詩鄭箋残巻1巻(国宝)、良忍上人自筆の外題がある浄土論2巻や、後鳥羽上皇の鏡で鋳造した亀鉦などがある。
1月5月9月には、5400個の数珠を繋いだ大数珠くりが行われる。
JR大和路線平野駅から徒歩7分。参拝者用の駐車場がある。(Y.N)
「万部おねり」万部会菩薩来迎練供養は、聖聚来迎会と阿弥陀経万部会が融合された大念佛寺最大の伝統行事で、毎年5月1日から5日まで催される。
平安時代以降、極楽浄土への往生を願う信仰が人々に浸透し、阿弥陀仏や二十五菩薩といった聖聚の来迎を模した法会が多くの寺院で催されている。
万部おねりはそうした儀式の一つで、1349年に法明が始めたと伝えられ、当時来迎会と称された。
江戸時代中頃に法会に阿弥陀経の一万部読誦が加わり、行事全体を「万部法会」と呼ぶようになった。
行事では、本堂外側に架けられた橋の上を、踊躍念仏の大和禅門講の人々が渡り、献茶、献花、本尊の掛軸、御詠歌、導師、楽人、菩薩が本堂に入る。
本堂内では雅楽が奏される中、菩薩が造花を伝供する所作が行われ、参詣者が納めた経木が読み上げられる。
当寺の本尊である画像十一尊天得如来が立体化した姿として、参詣者は橋上や本堂の菩薩を見ることが出来る。(Y.N)