榎宝篋印塔(えのきのほうきょういんとう)は、堺市にある。
慶安元年(1648年)に僧・夢幻永海が近在の人に呼び掛けて建立した。
塔建立の趣意書には「塔を路辺に据え置いて、あまねく通行の人々とも良縁を結びたい」と記されている。
宝篋印塔は、10世紀半ばに中国の呉越王の銭弘俶(せんこうしゅく)が8万4千基の宝筐印陀羅尼経を納めた銅製の塔を作ったことに由来する。
榎宝篋印塔は、総高4.39mの石塔で、方形の石を下から「基壇、基礎、塔身、笠、相輪」と5段に積み上げ、
笠の部分には四隅に隅飾りと呼ばれる馬耳形の突起の飾りがあり、その上に九輪と呼ばれる相輪が設けられ、さらにその上に宝珠と呼ばれる玉飾りが載せられている。
同地には、延宝3年(1675年)の庚申供養塔と、享保9年(1724年)の「行者 泉州堺 梅川利右衛門」「願主 紀伊国 市兵衛」と刻まれた廻国供養塔も建てられている。