藤白坂の丁石地蔵は、和歌山県海南市にある。
現地の案内板には次のように記されている。
藤白坂の丁石地蔵(ちょうせきじぞう)
全長上人は、海南市名高の専念寺第十四世の住職で、元禄年中(一六八八~一七〇四)専念寺に入り、延享四年(一七四四)に入寂した学徳すぐれた高僧でした。
全長上人は、藤白坂の距離を明確にするとともに、憩いの場所とし道中の安全を祈願するためにと、十七体の地蔵を一丁ごとに安置されました。
当時、藤白坂にはかご屋がいて、足腰の弱い旅人はかごを利用して峠越えをしたものです。
これによって、旅人は楽しい道中ができ、かご屋も十分な賃金を得ることができたと言われています。
いつの頃からか藤白坂のかご屋もなくなり、以来二百五十年余りの長い間に、丁石地蔵は谷に落ちたり地に埋もれたりして消え、昭和五十六年に現存するものはわずかに四体に過ぎませんでした。
その後、新しい地蔵を加えて、十七体が復元されました。
この「一丁地蔵」は当時(享保の初め頃)のものであり、「丁石」としては全国的にも珍しく、貴重な存在です。
平成八年十二月一日
海南市教育委員会
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