巨鼇山(きょべつさん)福厳寺(ふくごんじ)は、神戸市兵庫区門口町にある臨済宗南禅寺派の寺院である。
本尊は十一面観音像である。もと、会下山麓にあったと伝え、柳原木下長者の創建という。
摂津名所図会によると、後宇多上皇の帰依を受けた約翁徳倹(やくおうとくけん)を勧請開山とし、正安2年(1300)柏厳可禅が創建したという。
山門横に「史蹟後醍醐天皇駐蹕之處」の石碑がある。
元弘3年(1333)、鎌倉幕府の討幕計画に破れ、隠岐に流された後醍醐天皇は、ひそかに隠岐を脱出した。
名和長年の協力のもと、伯耆国船上山(せんじょうさん)から、姫路の円教寺、随願寺、一乗寺を経て、兵庫の福厳寺を行在所とした。
後醍醐天皇の父である後宇多上皇が、約翁徳倹に「仏燈大光国師」の号を贈っていることから、大覚寺統ゆかりの寺であったといわれている。
太平記巻11によると、後醍醐天皇が福厳寺に入ると、赤松円心入道父子四人が五百余騎を率いて伺候、出立直前には、楠木正成が三千余騎を率いて参向し、格別の賞詞を賜って還御の先導を勤めた。
JR東海道線兵庫駅下車、徒歩5分。