極楽寺は、和歌山県橋本市にある浄土真宗の寺院である。
山号は「真土山」と号し、紀伊続風土記には浄土真宗和州蘇我村(現在の奈良県桜井市蘇我町)の光専寺末と記されているが、
紀伊国名所図会三編巻三には薬師寺と表示されている。
過去帳などによると、最初は草葺建築の小堂であったが、明和3年(1766年)に現在のような五間四面の建物になったとされている。
境内には、橋本市指定文化財となっている宝篋印塔がある。
全高1.76m、緑泥片岩製で室町時代様式の典型的なものである。
塔身四方には梵字種子が陰刻されている。
他に銘文の存在は認められないが、橋本市内小峯寺の尺授年間宝篋印塔と造立年代が相前後すると推定されている。
この宝塔は、もと北方の山上にあったと伝えられる大聖寺跡より、江戸期に村人たちによって現在地に移建護持されたといわれる。
境内の薬師堂内には、薬師如来坐像、木造十一面観音立像、木造毘沙門天立像が安置されており、橋本市の指定文化財となっている。
平成6年(1994年)の三仏の修復で、十一面観音菩薩(157cm)の胎内から、如来立像(33cm)、地藏立像(37cm)の二体の仏像が発見された。