一言主神社は、奈良県御所市森脇にある神社である。
延喜式神名帳に葛木坐一言主(かつらぎにいますひとことぬし)神社として記載された神社で、願い事を一言だけ聞いてくれる「一言(いちごん)さん」として親しまれている。法人名は葛城一言主神社である。
事代主(ことしろぬし)命、幼武(わかたける)尊(雄略天皇)を祀っている。
その昔、雄略天皇と葛城の一言主とが、葛城山中で出会った時、一言主は、
「吾は 悪事も一言 善事も一言 言離つ神 葛城の一言主の大神なり」
と名乗って天皇を畏れさせたと記紀に書かれている。
今昔物語集には、役行者が諸神を集めて金峯山・葛城山間に架橋工事をした際、この神は顔が醜かったので、夜間だけ工事に従事し、行者の怒りに触れて呪縛されたとも書かれている。
社殿のあるこの地は、古くから神の降臨をしめすカミタチという名で呼ばれていることが文書などに記されている。
本殿の前にあるイチョウの巨樹は、高さ約20mで、幹の途中から乳房のようなものが出ており、「乳イチョウ」「宿り木」と呼ばれている。
この木に祈願すると子供を授かりお乳がよく出ると伝えられている。
また境内には神武天皇が葛網で捕らえた土蜘蛛を埋めたという蜘蛛塚があり、その牙と称するものを社宝としている。
謡曲史跡保存会の「土蜘蛛」と蜘蛛塚の説明板がある。
近鉄御所線近鉄御所駅からバスで宮戸橋下車、徒歩30分。参拝者用の無料駐車場がある。