宝亀院は、和歌山県高野山西院谷にある真言宗の別格本山である。
本尊は、十一面観音で別名「お衣観音」とも呼ばれ、国の重要文化財に指定されている。
延喜21年(921年)10月27日、空海に弘法大師の諡号が宣下されたが、
その時夢想によって醍醐天皇から空海に御衣一領が下され、観賢が奥の院御廟の戸を開いて檜皮色の御衣を大師に着せたと伝えられる。
その後、毎年空海の御衣新調にあたる院として観賢が当院を開き、院名は空海生誕年(宝亀5年)の暦名から取られた。
現在も毎年3月17日当院で御衣加持が行われ、3月21日に「御衣替えの儀式」が行われている。
山門をくぐって正面のお堂に入ると、右手に井戸がある。
これは、「御衣井」と呼ばれ、御衣替えの儀式で使われる衣を染めるときに、この井戸から湧き出る水を使い、薬草を煎じて染料が作られる。
寺伝によると、井戸の水は弁財竜王が守護している「生命の水」と呼ばれ、福智円満のご利益があるといわれている。
取り替えられた衣は、切れ端を小さく切って、「弘法大師御衣切」のお守りとなり配られている。
南海高野線高野山駅からバスで金堂前下車、徒歩2分。参拝者用の駐車場がある。