法起院は、奈良県桜井市初瀬にある真言宗宝山派の寺院である。
本尊は、徳道上人で、徳道上人の霊廟があり、西国三十三所霊場の番外札所となっている。
寺伝によれば、天平7年(735年)に西国三十三所を創始した徳道上人が、晩年この地に隠棲して法起院を開き、自ら造像したとされる徳道上人座像を安置したという。
徳道上人は、播磨国揖保郡矢田部郷(現在の兵庫県太子町)に生まれ、二十歳で初瀬の道明上人について仏道を研修し、やがて道明上人とともに長谷寺の開基となった。
徳道上人が、この世の寿命を終わり、あの世に赴いたが、閻魔大王から西国三十三所霊場の功徳を語られ、再び娑婆に戻り霊場参拝を勧めるように観音有縁の地三十三所を示されて、あの世から返されたという伝説がある。
徳道上人は、養老2年(718年)巡礼を勧める活動を始めたが、当時の人々にはあまり信じてもらえず、上人は「時期が早すぎる」と諦めて、閻魔大王から授かった宝印を中山寺の石棺の中に埋めたと伝えられている。
のちに花山法皇によって、上人の意思が継承され、西国三十三所が復興して現在に至っている。
鎌倉時代の「寺門高僧記」には、長谷寺を三十三所の1番札所とし、三室戸寺を33番札所とする記録が残されており、徳道上人の長谷寺が西国巡礼で大きな位置を占めていたことがわかる。
徳道上人の廟所には、十三重石塔が建てられ、その横にハガキの語源となった多羅葉樹があり、葉書きの木(葉の裏)に願い事を書くと叶うと言われている。
近鉄大阪線長谷寺駅下車徒歩20分。門前西側に参拝者用の駐車場がある。