頬切地蔵は、和歌山県かつらぎ町の国史跡三谷坂沿いにある。
標高179mに立地する石造物で、自然石から一重塔を作り出す。
仏の加護によって目の病を治した人がその功徳を多くの人に伝えるため、山中の自然石に三体の仏を刻んだものである。
三側面に一躯ずつ如来を半肉彫し、背面を自然石のままとする特異な形態のもので、全国的に類例がない。
三躯は、金剛界大日、釈迦、阿弥陀で、大日如来の頬に節理による裂け目があって頬に傷があるように見えることから、首の上の病に効くといわれ、地蔵信仰とあいまって「頬切地蔵」と呼ばれている。
いずれの像もふくよかな蓮弁に座していて、二重円光を薄肉彫した中に刻出された如来もふくよかな造形をなしている。
鎌倉時代初期の作とされている。
JR和歌山線妙寺駅下車、徒歩90分。