法隆寺西院伽藍は、中門、金堂、五重塔、大宝蔵院、百済観音堂などからなる。
中門(飛鳥時代、国宝)は、正面が四間で門の中央に柱が立つ特異な造りとなっている。左右には、金剛力士像の阿形と吽形が配置されており、現存する金剛力士像では日本最古のものである。
金堂(飛鳥時代、国宝)は、現存する最古の木造建築で、法隆寺の本尊を安置している。
金堂内には、聖徳太子のために止利仏師が造った金銅釈迦三尊像(国宝)、太子の父用明天皇のために造られた金銅薬師如来座像(国宝)、太子の母穴穂部間人皇后のために造られた金銅阿弥陀如来座像、これらを守護するわが国最古の四天王像(国宝)が安置されている。
五重塔(飛鳥時代、国宝)は、地上から相輪の頂上まで34メートルあり、上にいくほど軸部(塔身)が小さくなっており、五重は初重の半分の寸法である。
和辻哲郎は、「古寺巡礼」の中で、五重塔の動的な美しさについて、詳細に記している。
わが国最古の五重塔で、初重の内陣には東西南北の各面に約100体の塑像(国宝)が祀られている。
東面が「維摩詰像土」、北面は「涅槃像土」、西面は「分舎利像土」、南面は「弥勒仏像土」といわれ、経典に記された重要な場面が表されている。
大宝蔵院百済観音堂は、1998年に建てられたもので、中にはわが国を代表する宝物類が多数展示されている。
西宝蔵には、玉虫厨子(国宝)、夢違観音像(国宝)、百済観音堂には、わが国の仏教美術を代表する百済観音像(国宝)、東宝蔵には、伝橘夫人念持仏及び厨子(国宝)などがある。