新那智山今熊野観音寺は、京都市東山区にある真言宗泉湧寺派の寺院である。
弘仁10年(819年)に、弘法大師空海が東山で修行中に、熊野権現を名乗る老翁から一寸八分(5.5cm)の観音像を授けられた。
空海は、嵯峨天皇の勅を受け、この像を治める十一面観音像を刻み、寺が開創された。
その後、左大臣藤原緒継が伽藍を整え、観音寺の基を造った。
平安時代末期に後白河法皇が、新熊野神社の本地堂として、新那智山今熊野の山号を送られて以来、熊野修験道の拠点となって隆盛した。
応仁の乱の兵火で衰退したが、泉湧寺塔頭として再興され、弘法大師開創の観音霊場として、西国三十三所霊場の札所となっている。
本堂内には、本尊の秘仏十一面観音像、不動明王像、毘沙門天像が安置されている。
毎年9月21日から23日まで行われる四国霊場お砂踏み法要では、本尊が開帳される。
JR東海道線京都駅から京都市バスで「泉湧寺道」下車徒歩10分。参拝者用の駐車場がある。(Y.N)