岩不動は、和歌山県高野町の京大坂道不動坂にある。
紀伊名所図会には、次のように記されている。
「岩不動 路傍の岩に不動の種子(しゅじ)あり。大師の御爪鐫(おんつまぼり)なりといふ。」
種子とは仏教で諸尊をあらわす梵字のことで、弘法大師空海がこの岩盤のどこかに不動明王の梵字を刻んだという意味である。
不動明王は、ヒンドゥー教のシバ神の異名で大日経によると「不動如来使者は、慧刀、羂索を持ち」と表現されており、
不動明王像は、9世紀初めに空海によってわが国に伝えられたといわれる。
この梵字を見つけることは今となっては難しいが、このあたりの山脈は堅固な岩盤が連続しており、
その光景自体が不動明王を思い浮かべるような迫力がある。
南海高野線高野山駅からバスで女人堂下車、徒歩20分。