岩湧寺 

岩湧寺は、大阪府河内長野市加賀田にある融通念仏宗の寺院である。
岩湧山(897.7m)の北東山中に位置する。山号は、湧出山で、本尊は阿弥陀如来である。
大宝年間(701-704)に役小角が開基した寺で、文武天皇の勅願所であったと伝えられる。
和泉山脈・金剛山地(葛城山系)を行場とする葛城修験は、法華経二十八品を一品ずつ山中に埋めて経塚を作った。岩湧寺は、第15番目の地とされ、北西の山中に2基の経塚がある。
江戸時代は、天台宗で「河内名所図会」には、「巖涌寺(いはわきてら) 加賀田村の南にあり。当山、紀州九重峠の西界なり。巉巖屹立にして、其形、湧出るが如し。本尊十一面観音。 弘法大師作」と記されている。
領主である近江膳所藩主本多氏の祈願所であったという。明治22年(1889年)に、融通念仏宗となった。
境内には、三間二層の多宝塔と本堂、庫裏があり、多宝塔安置の大日如来坐像は国の重要文化財に指定されている。桧材寄木造、像高88.7cm、金剛界像で智拳印を結び、平安時代末期の作といわれる。
同じ塔内の愛染明王坐像は、鎌倉時代の作で河内長野市の文化財に指定されている。現在は、いずれの像も堺市博物館に寄託されている。
境内のカヤの大木(平成14年時点で樹高20m、幹周5.97m、樹齢400年)は、河内長野市の天然記念物に指定されている。
カヤは、イチイ科に属する針葉樹で、4月頃に花を咲かせる。実は楕円形で、カヤ味噌の原料等として食べられる。
村人に悪さをする龍を、修行僧が滝に打たれて祈祷を続け、満願の日に昇天させたと伝える道場の龍臥堂と祠(ほこら)が、参道左手の赤い鳥居の先にある。
南海高野線・近鉄長野線河内長野駅から南海バスで、神納下車、徒歩約80分。岩湧の森の無料駐車場(No.1-No.6)を利用できる。



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