泉穴師神社は、大阪府泉大津市豊中にある。
社伝によると、天武天皇白鳳年間の創建という。
延喜式神名帳和泉郡の「泉穴師(あなしの)神社二座」に比定される式内社で、もと単に穴師神社と称したが、大和の穴師神社(現奈良県桜井市)と区別するため、泉を冠した。
和泉五社のひとつで泉州二の宮である。
現在の祭神は、農業の神である天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)、紡織の神である𣑥幡千々姫命(たくはたちちひめのみこと)の夫婦二柱である。
「𣑥」は、衣服の原料となる麻、絹、綿など一切の繊維類の総称で、「幡」は、「繒(そう)」「服」の字に相当し、布帛の総称である。
農業並びに繊維工業に従事する人の多い泉州地域で篤く信仰されている。
穴師とは、この大津に吹き来る戌亥風(あなじ、あなぜ 西北風)を恐れて神格化し風神である級長津彦、級長津姫とする説(泉州志)、
新撰姓氏録にみえる穴師神主の祖である天富貴命と古佐麻豆智命とする説(和泉国地誌)、
「延喜式」(玄蕃寮)に和泉国安那志(あなし)社が新羅客人に与える神酒の料稲を一部負担したとあることから御食津神を祀ったとする説(神祇志料)などがある。
本殿は三間社流造 正面千鳥破風付 檜皮葺で、永徳元年(1381)、慶長7年(1602)などの棟札が残っている。
現在の比翼造の本殿は、慶長7年豊臣秀頼が片桐且元に命じて修築したもので、国の重要文化財に指定されている。
本殿東側にある摂社春日神社本殿(国重文)は、一間社入母屋造檜皮葺で、天富貴命(あめのふきのみこと)、古佐麻槌命(こさまつちのみこと)を祭神としている。
本殿西側にある摂社住吉神社本殿(国重文)は、一間社入母屋造檜皮葺で、棟木の墨書から鎌倉時代1273年の建築と判明しており、大阪府内で最古の神社本殿である。
社宝として、木造天忍穂耳命坐像、木造𣑥幡千々姫命坐像などの御神像83体を有しており、内80体は重要文化財に指定されている。
本殿前の石燈籠は、元弘元年(1331)楠正成が挙兵する際に、国家安寧武運長久を祈り当神社に奉献したものである。
南海本線泉大津駅下車徒歩20分。参拝者用の駐車場がある。
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