地蔵寺は、和歌山県橋本市高野口町にある真言宗山科派の寺院である。
本尊は、地蔵尊大菩薩(石造)である。
創建は定かではないが、延宝5年(1677年)の大指出帳に地蔵寺の名が記されている。
この寺は、西隣にあった西福寺が座衆(元からの居住者)の寺であるのに対して、平(新たな居住者)の建てた寺だと伝えられている。
本堂の西側に、高さ2m、幅70~80cmの均斉のとれた優美な五輪塔がある。
正平11年・延文1年(1356年)名倉村の有力農民層であった光明真言一結衆等が、西福寺境内に建立したが、明治初年廃寺となり、東隣の地蔵寺に引き継がれ現在地に移築された。
南北朝(吉野朝)時代のもので、和歌山県の重要文化財に指定されている。
当寺庫裡裏に元名倉村弁天の森にあったとされる石灯籠の円柱(直径25cm、高さ70cm)が保管されている。
中央に「光明真言講中」左右に「大道元年七月吉日」と刻まれている。紀伊續風土記では、「南朝に奉仕せし人の子孫等、当時の年号を用ふるを快とせずして、私に建てた号なるべし」と記され、南北期末に使われた私年号とされている。
JR和歌山線高野口駅下車、徒歩3分。(Y.N)