上池院は、和歌山県高野山往生院谷苅萱堂の南にある真言宗の別格本山である。
本尊は、大日如来を祀っている。
弘法大師が天長年間(824-834)に高野山に登った時に建立されたといわれる祠が起源といわれる。
鎌倉時代仁治元年(1240)に焼失したが、後深草天皇が再建に尽力した。
高野山安養寺、萱堂などの名があり、空海自作の千手観世音が祀られていたため、観音院とも呼ばれた。
空海が仮住まいをしたといわれ、覚鑁も訪れているため「両高祖ぬれわらじの寺」とも呼ばれる。
境内には石道丸親子得度の井戸、庭園奥には、覚鑁が造ったと伝わる「上人足洗いの池」があり、江戸時代後期には院名が、上池院と改められた。
後醍醐天皇の皇子で曽眼法流祈祷法をはじめた曽眼大阿闍梨が中興として知られる。
大正年間(1912-26)に炎上したが、中興から山中鹿之助等の帰依が深く、その縁で鴻池家の寄進で復興した。
庭園には、空海が中国から持ち帰ったという沙羅双樹が植えられている。
南海電鉄高野線高野山からバスで、苅萱堂前下車。