竈山神社は、和歌山市和田にある神社である。
祭神は、神武天皇の皇兄、彦五瀬命(ひこいつせのみこと)である。
神武天皇の東征の途中、彦五瀬命は孔舎衙(くさか)坂で長髄彦(ながすねひこ)と戦った際、流れ矢にあたり負傷したため、軍は進路を変えて、紀国雄水門(きのくにおのみなと)からこの地に向かったが、亡くなって竈山に葬られた。
神社の背後にその墓があり、古事記には陵と記される。
延喜式では、国幣小社とされ、古くから皇室の崇敬が厚かった。
天正13年(1585年)豊臣秀吉の根来攻めの時の兵禍により、社地社領を没収され、社殿、宝物など一切を失ったが、寛文9年(1669年)和歌山城主徳川頼宣によって再建され、以降歴代藩主の厚い崇敬を受けた。
明治18年(1885年)官幣中社に列せられ、大正4年(1915年)官幣大社に昇格した。
本殿の左脇には、神日本磐余彦天皇(かんやまといわれひこのすめらみこと)ほか2神を祀る左脇殿(神武天皇社)がある。
右脇殿には、高倉下命(たかくらじのみこと)ほか8柱が祀られている
寛政6年(1794年)の冬、本居宣長はこの社に詣で、つぎのように詠んでいる。
をたけびの かみよのみこゑ おもほへて あらしはげしき かまやまのまつ
紀伊続風土記によると、上記の「竈山墓」と竈山神社は一所であると記しており、神社北側に「竈山の御陵(みはか)」がある。
彦五瀬命は、当社のほか、水門吹上神社(和歌山市)、男神社(泉南市)、男乃宇刀神社(和泉市)、安仁神社(岡山市)などの神社で祀られている。
和歌山電鉄貴志川線竈山駅下車、徒歩10分。参拝者用の駐車場がある。