勝手神社は、奈良県吉野町にある神社である。
吉野八社明神のひとつで、金峯山の入口にあるので(吉野)山口神社ともいう。
創建は不明であるが、一説によれば孝安天皇6年(紀元前386年)ともいわれ、祭神は、天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)、大山祇命(おおやまつみかみ)、久々能智命(くくのちのみこと)、木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)、苔虫命、葉野姫命の六神で、「勝運」と「芸能」の神として崇敬されている。
社殿は、平成13年(2001年)に焼失したため、「御神体」は吉水神社に仮遷座している。
後ろの山は、袖振山と呼ばれ、天智天皇の十年(672年)、大友皇子に対抗して、兵を挙げた大海人皇子(天武天皇)が、この神前で琴を奏でていると、天女が後ろの山上から袖をひるがえして舞いながら現れ、吉兆を示した。
この故事が五節の舞の起こりだといわれる。
文治元年(1185年)の暮れ、源義経と涙ながらに別れた静御前が追手に捕らえられ、この社殿で法楽の舞を舞ったと伝えられ、静御前の舞塚の石碑がある。
境内には、「吉野山 さくらさく日にもうで来て かなしむ心 人しらめやも」 という折口信夫(釈迢空)の歌碑が建てられている。
近鉄吉野線吉野山駅からバスで勝手神社前下車すぐ。