粉河寺は、和歌山県紀の川市粉河にある天台宗の寺院である。
寺歴によると、770年に大伴孔子古(おおとものくじこ)が、現在の本堂の場所に庵を建て、千手観世音菩薩を本尊としたのが始まりである。
鎌倉時代には、4キロ四方を超える広大な境内に、七堂伽藍、550坊が建ち並び、隆盛を極めたが、1585年に豊臣秀吉の根来攻めによりほとんどの堂宇を焼失した。
江戸時代に入り、紀州徳川家の援助を受けて復興した。
大門をくぐり、右手の粉河を見ながら参道を進むと、1832年に建立された中門がある。
紀州徳川家第10代藩主徳川治宝による「風猛山」扁額がかかっている。
中門を入り左側に、西国霊場三十三所の中で最も大きい本堂がある。
本尊は、千手千眼観世音菩薩である。
本堂前の庭園は、桃山時代の枯山水で国の名勝に指定されている。
寺の創建から本尊の霊験を記した「粉河寺縁起」一巻は、平安時代末の天台宗の僧侶鳥羽僧正の筆といわれ国宝に指定されている。
令和2年(2020)10月に創建1250年記念特別展「国宝粉河寺縁起と粉河寺の歴史」が和歌山県立博物館で開催された。
展示会場では、粉河寺縁起と千手千眼観世音菩薩のレプリカも展示され、写真撮影が認められたので、その写真を下に掲載した。
JR和歌山線粉河駅下車、徒歩15分。