真土の万葉歌碑(国道24号線沿い)

真土の万葉歌碑(国道24号線沿い)は、和歌山県橋本市にある。

橋本市浄水場入口の万葉歌碑には、次のように刻されている。
    紀ノ川の万葉  犬養孝
 こんにちは、国道二四号線が山の北側を通り、鉄道が南側の山裾の川べりを通っているが、
古代は川べりを避けて、現、国道より南の低い、川ぞいの丘辺を越えていた。
峠の上は、東方は五條一帯の吉野川の広い流域を望み、一方西方には紀ノ川(和歌山県にはいると吉野川は紀ノ川と呼ばれる)の明るい河谷を望む。
紀路にあこがれる旅人のエキゾチシズムを刺激するのは当然のことであろう。

あさもよし 紀へゆく君が 信土(まつち)山
越ゆらむ今日そ 雨な降りそね
       -作者未詳- (巻九 - 一六八〇)

(意味)
紀伊の国に向けて旅立たれたあの方が、今日、信土山を越えていることだろう。
雨よ降らないでおくれ。

副碑には次のように刻されている。
  真土の万葉歌碑
第八回橋本万葉まつりを記念し、又永く
橋本の万葉が受け継がれる事を祈り
大阪大学名誉教授 甲南女子大学名誉教授 
文化功労者 文学博士 故犬養孝先生の
著書「紀ノ川の万葉」より その遺墨を刻し
ここ万葉のふるさとに これを建つ
  二〇〇〇年十一月二十三日 
   橋本万葉の会

上記歌碑の東側 国道を挟んだ向かい側の調首淡海(つきのおびとおうみ)の歌碑には、次のように刻されている。

朝毛吉 木人乏母 亦打山
行来跡見良武 樹人友師母
                   孝書

文武天皇大宝元年 紀伊牟婁の湯行幸の途次 調首淡海の作れる歌
あさもよし 紀人ともしも まつち山 
  行き来と見らむ 紀人ともしも
                      萬葉集巻第一
(意味 紀伊の国の人は羨ましいな。亦打山を行き帰りに見るという紀伊の人は羨ましいな。)

国際ロータリー創立七十五周年
橋本ロータリークラブ創立二十五周年
の記念事業として 萬葉歌碑の揮毫を
大阪大学名誉教授文学博士犬養孝先生に依嘱し 郷土のためこれを建つ
昭和五十五年十一月九日
  橋本ロータリークラブ

村瀬憲夫氏は、「万葉の歌9 和歌山」において、枕詞「あさもよし」について考察し、調淡海のこの歌が、柿本人麻呂の歌をもとにして「あさもよし」を使ったとしている。



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