近江神宮は、滋賀県大津市神宮町にある神社である。
祭神は、飛鳥から大津へ遷都した天智(てんじ)天皇(天命開別大神(あめみことひらかすわけのおおかみ))である。
明治時代以降に、大津京跡に天智天皇を祀ろうとの気運が高まり、1938年から造営が始まり、昭和15年(1940)に紀元2600年を記念して、宇佐山麓で鎮座祭が営まれた。
社殿は1944年竣工で昭和造り又は近江造りと呼ばれており、平成10年(1998)に国の重要文化財に指定されている。
また、崇福寺(すうふくじ)跡(国史跡)出土の舎利容器(崇福寺塔心礎納置品、国宝)などを所蔵している。
天智天皇は、大化の改新を行い、日本で初めての戸籍を作り、学校の制度を始めるなどの改革を進めた。
日本書紀に、天智天皇10年(671)、「漏刻を新台に置きて、初めて候時(こうじ)を打ち鉦鼓(しょうこ)をならす」と記されており、
日本で初めて漏刻(水時計)をつくり、鐘をたたいて時を知らせたといわれる。
毎年4月20日には例祭(勅祭)、6月10日の時の記念日には、漏刻祭が行われる。
京阪電鉄石山坂本線近江神宮前駅下車、徒歩10分。参拝者用の駐車場がある。
近江神宮時計館・宝物館は、昭和38年にわが国唯一の「時計博物館」として開館し、平成22年4月1日「時計館・宝物館」としてリニューアルオープンした。
1階の時計館には、高松宮家からの下賜時計、垂揺球儀(寛政初期に開発されたわが国独自の振り子式天文時計)、
櫓時計(動力に重錘を使用)、香時計(線香時計の一種)など約百点の時計が展示されている。
2階の宝物館には、曽我蕭白(そがしょうはく)筆「紙本墨画淡彩楼閣山水図」(国重文)(複製)、方相氏の面等が展示されている。
建物前には、日本最初の時計「漏刻」の復元模型や日時計がある。
近江勧学館は、競技かるたの殿堂として知られている。
天智天皇は学問を奨励し、現在の南滋賀に勧学堂を建てた。近江勧学館の名は、それに由来する。
全国高等学校かるた選手権大会は昭和54年(1979)に滋賀県で全国高校総体(インターハイ)が開かれるのにあわせて始まった。
第1回は8校の参加であったが、その後参加校は増え、末次由紀の漫画、アニメ、映画「ちはやふる」の影響もあり、最近では個人戦に1500名が出場している。
日本一を決める名人戦、クィーン戦は1月初旬の土曜日に2階浦安の間で開催される。令和元年11月には、競技かるた世界大会が開催された。
近江勧学館南側には、小倉百人一首の巻頭歌の碑がある。
秋の田の かりほの庵の とまをあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ 天智天皇