大斎原

大斎原(おおゆのはら)は、和歌山県田辺市本宮町の熊野本宮大社の旧社地で国の史跡に指定されている。
「熊野権現御垂迹縁起」によると、熊野の神は、かつて熊野川、音無川、岩田川に囲まれた広大な中州のイチイの巨木の梢に三体の月になって降臨したと伝えられている。
これを見つけた猟師が木の下に三つの社殿を作ったのが熊野坐(くまのにます)神社(現在の熊野本宮大社)の始まりで、かつて上四社、中四社、下四社が大斎原に鎮座していた。
しかし、明治22年(1889年)の大水害で社殿の大半を流失し、流失を免れた上四社の建物が、明治24年(1891年)に約500メートル離れた高台に移転、再建された。
現在は、小さな2つの石祠があり、西側の石祠に中四社と下四社、東側の石祠に境内摂末社に鎮座していた神がそれぞれ祀られている。
平安時代以来の熊野参詣では、中洲に渡る橋がなかったため、参詣者は音無川を歩いて渡り境内に入った。
これは、「濡藁沓(ぬれわらくつ)の入堂」と言われ、すべての人が熊野本宮に入る前の潔斎を行っていた。
大斎原は、一遍上人が熊野本宮証誠殿で百日の参籠を行って神勅を得て、時宗を開宗した場所として知られ、南無阿弥陀仏と刻まれた「一遍上人神勅名号碑」が建てられている。
JR紀勢本線新宮駅からバスで「本宮大社前」下車、徒歩5分。世界遺産熊野本宮館前の駐車場が利用できる。(Y.N)



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