六郷極楽寺は、和歌山県橋本市神野々にある寺院である。
神野々七墓(こののななはか)(周辺六地区の共同墓地)前に建つ阿弥陀堂で、14世紀初めの史料に出ている。
本尊阿弥陀如来坐像は、下品中生の説法印を結ぶ数少ない例で、鎌倉時代の作品として和歌山県指定文化財となっている。
境内には、正平七年七月一五日(南朝年号1352年 本堂に向かって左側)、正平一三年の五輪塔(いずれも橋本市指定文化財)が建ち、一字一石経も発見されている。
阿弥陀堂とその背後の山際斜面の七墓、そして頂上の熱田社に至るラインは、古代の霊魂山中他界説に基づいている。
日本人は死者が行く世界は三つあると考えていた。「山中他界」「地中他界」「海上他界」である。
地中の他界は「黄泉の国」、海上他界は「常世の国」と呼ばれる。
そのため、お盆には精霊は山(山中他界)から帰ってきて、常世の国(海上他界)に去っていくと考えられ、精霊流しが行われた。
JR和歌山線紀伊山田駅下車、徒歩10分。