嵯峨谷の六地蔵六面石幢(せきとう)は、和歌山県橋本市にある石塔である。
地蔵は、六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天)のそれぞれにあって、その世界の衆生を救う仏とされる。
六地蔵は墓地の入口に六体並べられることが多いが、当地のものは六角柱の幢身側面の各面に仏像や梵字が刻まれている。
六面石幢には、六角柱の幢身に笠を載せただけの単制のものと、石燈籠型のものがある。
単制のものは鎌倉時代頃から見られるようになるが、石燈籠型のものは室町時代以降に見られる。
嵯峨谷の六地蔵六面石幢は砂岩製で、幢身に笠を載せた単制である。
幢身が長く背の高いものが一般的であるのに対して、当地の塔は総高89.8cm(うち幢身は70cm)で背が低く、笠は大きく外に開いて六角形の各隅には方立風隅飾が立ち上がるため、全体としてはそれほど重量感は感じさせない。
幢身の各面には高さ52cmの光背が彫られており、中に像高38cmの地蔵菩薩立像が浮き彫りになっている。
南北朝時代北朝年号の貞和5年(1349年)の年紀が読み取れ、橋本市の文化財に指定されている。
JR和歌山線高野口駅駅下車、徒歩約2時間。