猿田彦神社は、三重県伊勢市宇治浦田町にある神社である。
主神は猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)で、大田命(おおたのみこと)を相殿に祀っている。
「皇大神宮儀式帳」によると、猿田彦大神の神裔(しんえい)とされる大田命が伊勢内宮創建に功があったとされ、
さらにその大田命の子孫が伊勢神宮において玉串大内人(おおうちびと)の所掌を歴任して宇治土公(うじのつちぎみ)(通常「うじとこ」と呼ぶ)姓を称した。
猿田彦神社はその宇治土公(うじとこ)家の邸内社として祖神を祀ったのに始まる。
創建年代は不詳である。
猿田彦大神は全てのことに先駆け、人々を善い方に導き、世の中の行方を開く「啓行(みちひらき)」の神として知られている。
その信仰は全国的な広がりをもち、方位除、災除、地鎮、事業繁栄、交通安全、開運などの祈祷が行われている。
本殿は二重破風の妻入り造りで、「さだひこ造り」と呼ばれる。
猿田彦大神の方除の神徳にちなみ、屋根の上の鰹木や鳥居を始め柱や欄干など八角形となっている。
毎年5月5日には、御田祭(おみた)(県の無形民俗文化財)が行われる。
宇治地区から選ばれた8歳の少女が捧げる玉苗8束が、神前に供えられた後、男女8人ずつの植方に渡され、田植えが行われる。
その年の作柄を占う「団扇角力(うちわずもう)」があり、最後に豊年踊り、団扇踊りがある。
近鉄JR伊勢市駅からバスで猿田彦神社前下車すぐ。参拝者用の駐車場がある。
境内社として佐瑠女(さるめ)神社があり、祭神として天宇受売命(あめのうずめのみこと)が祀られている。
天照大御神が天岩窟にこもったとき、天宇受売命がその前で神楽を舞い、天照大御神が再び現れるきっかけを作った。
このことから、俳優(わざおぎ)の神として、技芸、技術の上達を導く芸能の祖神として崇敬され、音楽関係、芸能関係者をはじめ様々な習い事の上達を祈る参拝者が訪れている。
また天孫降臨に際して、天と地の間にある難所 天八衢(あめのやちまた)で、天孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)と猿田彦大神との間を取り持ったことから、良縁、縁結びの神として崇敬されている。
この縁から、天宇受売命は瓊瓊杵尊から「さるめの君」(猨女君)の名を賜った。社名はこれに由来している。