盛松寺は、大阪府河内長野市楠町西にある高野山真言宗の準別格本山である。
寺伝によると、大同3年(808年)弘法大師が槇尾山に修行に行く途中、この地で疫病に苦しむ村民の話を聞いて祈祷をした。
弘法大師は、きれいな飲み水を得るため、排水路を整備し、冬至に柚子と味噌で柚子味噌を食すると健康になると教えられた。
弘法大師が立ち去った後、疫病がおさまり、その地から樟が芽を出したといわれる。
樟は、樟脳の原料で疫病、邪気を取り除く霊木として知られる。その後、樟は4本の枝に分かれて釣瓶を吊り下げたように繁ったので、「四鉤樟(よつるくすのき)」と呼ばれ、これが地名となった。
この地名が訛って「四鉤樟(よつくぬぎ)」「四つくの木」「四通(よつ)」「四樟(よつ)」「与通(よつ)」「與津」「與通」と称されるようになった。
樟の霊木で造った弘法大師像を本尊として、盛松寺が創建されたのが、享保7年(1722年)である。
以降「與通(よつ)のお大師さん」「厄除け大師」として信仰されている。
弘法大師の教えの「柚子味噌」の製法は当寺に伝わり、毎年12月21日の終い弘法の日に参拝者にお供え物として渡されている。
南海高野線千代田駅下車、徒歩16分。