対面石は、和歌山県九度山町にある史跡である。
槙尾山由来記によると、弘法大師空海は子供の頃、槇尾山(和泉国)におり、弁財天を信仰していた。
高野山開創後も、その信仰は固く、毎月九度は和泉の槇尾山に参詣していた。
ある時紀ノ川の水が増水し、弘法大師が渡りかねていると、「御対面石」に弁才天が姿を現し、
「和泉まで参詣するのが大儀であるから、この九度山の地に移してよかろう」とのお告げがあり、
この尊を勧請して槇尾山明神社に祀ったと言われており、今も九度山中学校の下にあり、明神さんとして親しまれている。
お告げを聞いた場所が、この石の前であったことから、この石が対面石と呼ばれるようになった。
「紀伊続風土記」にも、「對面石 村内街道に二石あり 弘法大師槇ノ尾明神と對面せし處といひ傳へたり」と記されている。
明治時代以降、弘法大師が母公と対面した所とも説明されている。
南海高野線九度山駅下車、徒歩6分。