不老山瀧井寺は、和歌山県橋本市高野口町にある。
境内には、「弘法大師不老水 瀧井之跡」の石碑が建てられ、次の説明文がある。
不老の瀧井旧蹟
弘法大師、高野山開創の砌、八町四方の伽藍でありし名古曽廃寺に錫を留め万民の浄福を祈りて、
薬師如来の実像を刻み、身とこころの病患を癒やす不老の浄楽を残せりと伝う。
本堂前には「瀧井寺再建の疏」の石碑があり、次のように刻されている。
不老山瀧井寺は、弘法大師高野山開創の砌、錫を名古曽廃寺に留め、
佛縁深きこの地に不老の清水のあることを教え、薬師如来の霊像を刻みて、
住民の長寿と平安浄福を祈りし霊蹟なり。
長徳4年(998年)祈親上人定誉四十二歳の時、この地を尋ね厄除けの護摩を修せし文献と共に、
その霊験は長く伝承され来るも天災兵乱の災禍により当時の面影を偲ぶに由なく、
一宇を残せしも、明治維新の廃佛棄釈(毀釈)の法難により無住となる。
爾来幾度か修復を重ね護持に尽力し来れるも、荒廃の度ついに改修の及ぶ能わざるところとなりけり。
この度、先祖菩提、子孫浄福、郷土発展を憶念せし檀徒の熱願が熟し、
本堂並びに庫裡再建の浄業を達成するに至る。佛天の冥護、期して待つべきものあり。
ここに、再建の素懐を誌し、御寄進功徳主の法名を刻み、霊蹟の永く伝えるものなり。 合掌
昭和六十三年三月吉祥日
瀧井寺兼務住職 大僧正 谷本 嘉隆
本堂には、瀧井寺御詠歌の額が奉納されている。
本尊薬師如来
苦しみを あだにはなせじ 滝の井の すめる心ろの うつる月かげ