誕生院は、和歌山県日高町にある浄土宗の寺院である。
門前には、徳本上人誕生遺跡がある。紀州藩十代藩主徳川治宝が、誕生地を記念して誕生院を創建した。
徳本上人(1758-1818)は、江戸中期の浄土宗捨世派の代表的な念仏行者である。
宝暦8年(1758)6月22日紀伊国日高郡志賀庄久志村 田伏三太夫の長男として生まれ、幼名を三之亟という。
4歳の時遊び友達の急死により無常を感じ、母から念仏をするよう諭されたという。
天明4年(1784)27歳で往生寺(現 御坊市)の大円について出家し、徳本という名を賜った。
別時念仏、不断念仏など念仏の行を積み、文字を習わずして仏道の奥旨を極めたという。
42歳の時、摂津箕面勝尾寺を拠点に全国を回り念仏の教えを広めた。
46歳の時、京都の鹿ケ谷法然院で、それまでの長髪長爪の異相を改めた。
その後、江戸に行き、小石川伝通院智厳から宗派、戒脈を受け継ぎ、各地で念仏講を立ち上げ、名号碑が建立された。
その数は、全国で一千三百基を超えるといわれる。
文政元年(1818)10月6日江戸小石川一行院で往生(享年61歳)した。
境内には、徳本上人念佛行場、徳本上人十念名号塔がある。
JR紀勢本線紀伊内原駅下車、徒歩1時間。境内北側に駐車スペースがある。