飛び込み岩は、和歌山県橋本市の紀ノ川にある。
前畑秀子と古川勝は、ともに橋本市出身の水泳選手で、オリンピックで金メダルを獲得するなど輝かしい業績を残した選手である。
大正年間、昭和初期は、紀ノ川の水量は今よりも多く、子どもたちは紀ノ川で泳いでいた。
前畑秀子(1914-1995)の生家は、紀ノ川北岸で、子供部屋は川べりにあったという。そしてこの飛び込み岩付近で水泳の練習をしていた。
橋本尋常高等小学校4年生で水泳部に入部し、高等科1年生(現中学1年生)で100m平泳ぎの日本新記録を樹立している。
その後、室内プールを完備した名古屋の椙山高等女学校に編入し、昭和7年(1932)のロサンゼルスオリンピック200m平泳ぎで銀メダルを獲得した。
4年後の昭和11年(1936)のベルリンオリンピック200m平泳ぎで、日本人女性初となる金メダルを獲得し、ラジオ中継で「前畑ガンバレ」と、ガンバレを23回連呼した伝説のアナウンスは後世にも語り伝えられている。
古川勝(1936-1993)は伊都郡橋本町(現在の橋本市)で生まれ、紀ノ川に潜って幼少期を過ごした。
中学校の水泳大会で優勝し、前畑秀子から平泳ぎに専念するように指導を受けた。
その後、橋本高等学校、日本大学で水泳を続け、昭和31年(1956)のメルボルンオリンピック200m平泳ぎで優勝し、水泳競技で戦後初の金メダリストとなった。