金剛寺(八坂庚申堂)は、京都市東山区にある天台宗の寺院である。大黒山延命院と号する。
創建については、「坊目誌」(明治大正時代刊)に、朱雀天皇の頃、浄蔵貴所によって建立されたとする説と、慶長年間に大阪天王寺から移したという説が書かれている。
本尊は青面金剛童子で、怖い顔に眼目が三つかがやき、牙がはえた裸体で、虎の皮の褌をつけている。
本尊は秘仏とされ、60年に一度開帳される。
「都名所図会」には、日本三庚申(当寺、大阪四天王寺、東京浅草寺)の一つと記されている。
庚申の日とは、干支で60日毎に1回、1年間に6回ある「庚申(かのえさる)」の日である。
中国の教道では、この夜に天帝の使いである三尸(さんし)が人間の体内から抜け出て天に登り、人間の悪行を報告するといわれる。
そのため、人々は天罰を恐れて、申の刻(午後4時)から寅の刻(午前4時)まで徹夜して猿田彦大神に供え物をした。これを庚申待ちという。
全国各地の庚申塔や庚申塚は、室町時代から江戸時代の作が多く、この時期に庚申信仰が盛んとなった。
塔に刻まれた像は、青面金剛が最も多く、猿田彦大神や三猿像もある。青面金剛の神使いが猿で、三猿像は人間の悪行を見ざる、聞かざる、言わざるという態度を具現化したものといわれる。
境内には、絵馬や「くくり猿」と呼ばれるぬいぐるみが多く結び付けられている。
くくり猿は、願い事をさまたげようとする欲望をくくりつけ、欲望の心をコントロールするといわれる。
1月6日、7日には「コンニャク祈祷」が行われ、初庚申の日に祈祷されたコンニャクを病人の頭上に吊り下げておくと病気平癒に霊験があるといわれる。
京都市内主要ターミナルから、京都市バスで東山安井停下車、徒歩5分。