善通寺は、香川県善通寺市にある真言宗善通寺派の総本山である。
五岳山誕生院と号する。四国八十八か所第75番札所で、高野山金剛峯寺、京都教王護国寺(東寺)とともに弘法大師空海の三大霊跡に数えられる。
大同2年(807)唐から帰朝した空海は真言宗の立教開宗の勅許を得たので、父の佐伯善通(よしみち)の邸宅を寺に改め、6年後の弘仁4年(813)に竣工、父の名をとって善通寺と称したのに始まるといわれる。
なお、出土古瓦などの研究により、すでに白鳳期から佐伯氏の氏寺があったとの推定もある。
鎌倉時代中期に全盛期を迎えたが、暦応3年(1340)に全山が焼亡し、中興の祖といわれる宥範(ゆうはん)が22年の歳月をかけて復興した。
現在の伽藍は、永禄元年(1558)の兵火後に再建されたものである。
現在約3万坪の境内は、御影堂を中心とする本坊(西院)と金堂を中心とする伽藍(東院)に分かれている。
御影堂の本尊の弘法大師画像(秘仏)は、空海が母の玉依姫のために自ら描いた肖像といわれ、鎌倉時代に土御門天皇が御覧になった時にまばたきをしたことから瞬目大師(めひきだいし)像とも呼ばれる。
金堂本尊の現在の薬師如来像は、江戸時代に仏師 運長が造立したもので、胎内に旧本尊の断片を納めているといわれている。
寺宝として、一字一仏法華経序品、空海が唐から将来したと伝える金銅錫杖(以上国宝)、木造吉祥天立像(重文)などを有している。