開口(あぐち)神社は、堺市堺区にある神社である。
社伝によると、神功皇后が三韓征伐の帰途、忍熊王を討った時、当地の漁夫が赤目魚を皇后に献上した。
皇后は、吉兆と喜び、当地開口村に塩土老翁神(しおつちおじのかみ)を祀ったのが、当神社の起源といわれている。
この神はそれまで口を開けたことがなかったが、神功皇后が神饌を奉ったところ、初めて口を開いたと言われ、神社の名はこの伝えに由来する。
1113年に木戸村の生國魂神(いくたまのかみ)、原村の素戔嗚神(すさのおのかみ)を合祀して、「三村大明神」と称され、信仰が広まった。
祭神の塩土老翁神は、海上交通の神で住吉大社と関係があったことから、住吉奥の院、外宮と呼ばれた。
堺市博物館所蔵の元禄2年(1689年)堺大絵図(模写)では、大寺と表記されており、堺の総氏神として、「大寺さん」と呼ばれている。
この通称は、当地に行基が念仏寺を建立し、その通称が「大寺」であったためで、廃寺となった後も、堺の人々は「大寺さん」と愛着を込めて呼んでいる。
明治時代には、本神社境内に、堺市役所、大阪府立三国丘高等学校、大阪府立泉陽高等学校、堺市立第一幼稚園が置かれ、記念碑が建てられている。
また境内西側には、海会寺跡金龍井戸が残されている。
南海本線堺駅から徒歩10分。阪堺電車阪堺線宿院駅から徒歩5分。