蓮池と善女龍王社は、和歌山県高野山の壇上伽藍にあり、国史跡に指定されている。
蓮池は高野山上最大の池であり、平安時代からあったものである。
古くは「金堂池」と呼ばれていたが、江戸時代に蓮が植栽されてからは「蓮池」の名前で親しまれてきた。
昭和初期まで水面を覆う蓮の群生が見られたが、改修工事等で池の環境が変化したため、現在はほとんど植生していない。
善女龍王とは、龍神の一種であり、天候や農耕など水に関する信仰に絶大な御利益をもたらすものとされている。
昔、中国の都 長安にあった青龍寺の鎮守として祀られており、別名 清瀧権現ともいわれる。
また、弘法大師が天長元年(824年)に京都の神泉苑で雨乞い祈願をした時に、インドの無熱池(むねっち)という池から善女龍王を勧請したことでも知られる。
蓮池の中央に善女龍王が祀られた社がある。
この社は明和8年(1771年)春の旱魃時に、瑞相院の慈光僧正が善女龍王を勧請して雨乞いの法を修したことに由来している。
以来、多くの人の信仰を集め毎年10月19日には善女龍王祭が催されている。
現在奉祀されている龍王像は、平成8年に東京支所下龍照院 鴻野弘有住職により寄進されたもので、現社殿は同住職の寄進で新築されて、令和元年10月17日に遷宮された。
南海高野線高野山駅から南海りんかんバス「大門南駐車場」行きで「霊宝館前」下車、徒歩1分。霊宝館前に無料駐車場がある。