国指定史跡 広村堤防は、和歌山県広川町にある。
広川町は古来より幾度となく津波に見舞われてきた。
特に宝永4年、(1707)、安政元年(1854)の大津波は、広地区が再起不能と言われたほどの大被害をもたらした。
安政元年の津波を目の当たりにした濱口梧陵は、濱口吉右衛門と諮り、中世畠山氏の築いた石堤の後方に、高さ5m、根幅20m、天幅2m、延長600mという大防波堤を築いた。
安政2年(1855)2月に着工し、工費銀94貫344匁(353.79㎏)の私財を投じて、延人員56,736人を要して安政5年(1858)12月に完成した。
この工事で、津波によって仕事を失った人々の就労を支援し、後世の津波被害を最小限にしたといわれる。
昭和8年(1933)に当時の村長が発起人となり、感恩碑が建てられた。
濱口梧陵らの遺徳を偲んで毎年11月5日(2015年に世界津波の日に指定された)に、感恩碑の前で「津浪祭」が開催され、献花が行われる。
これらの防災遺産は、平成30年(2018)に「百世の安堵」~津波と復興の記憶が生きる広川の防災遺産~として、日本遺産に認定された。
JR紀勢本線湯浅駅下車、徒歩16分。