海津大崎 桜並木

海津大崎は、滋賀県高島市にある。
琵琶湖の北岸に突き出た岬で、東山の山裾が急崖をなして湖面に落ち込む景観を作り出している。
「暁霧(ぎょうむ) 海津大崎の岩礁」として琵琶湖八景の一つになっている。

海津大崎の桜並木は、平成2年(1990年)3月、財団法人日本さくらの会から「日本のさくら名所百選」に選ばれた。
この桜は、昭和11年(1936年)6月に大崎トンネルが完成したのを記念して海津村が植樹したもので、例年4月中旬には、延長4㎞にわたって約600本のソメイヨシノが琵琶湖岸に咲き誇り、美しい花のトンネルを散策する多くの観光客が訪れる。
この桜並木の誕生は、海津村の植樹からさらに5年遡る。

当時滋賀県高島地方事務所に道路補修をする修路作業員として勤めていた百瀬村の宗戸清七さん(当時37歳)が、作業の合間に自費で購入した若木を植えたことが発端である。
宗戸さんは、当時未舗装の県道の改良や補修を日常業務とし、助手2人とリヤカーに土砂を積んで毎日巡回し、くぼみに土砂を埋め、盛り上がっている場所を削って平にするという作業に携わっていた。
その重労働の疲れを癒してくれたのが、道から見える澄み切った琵琶湖と沖に浮かぶ竹生島の姿である。
愛着のある道に何かを残したいと思った宗戸さんは、桜の並木があれば景色が華やかになると考え、自力で桜を植え始めた。
3年後に若木が花をつけ始めると、村の青年団も協力し始めた。宗戸さんの指示で団員がリヤカーで水や土を運び、若木が根付くように丹精込めて植樹した。
このように宗戸さんと村の若者たちが植えた桜がしっかりと根を下ろしたことが、現在の桜並木の景観をつくる大きなきっかけとなった。
その後も度重なる豪雪やがけ崩れによる被害の際も、住民が捕植し桜並木を大切に守り続けている。
大崎並木口から大崎寺まで約2kmの湖岸沿いに、歩行者専用の遊歩道(近江湖の辺の道)がある。
北側には、水上勉の小説「桜守」に登場する清水(しょうず)の桜がある。→ たてかわ桜
JR湖西線マキノ駅下車、徒歩30分。桜の季節には、バスや花見船が運行される。



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