景教碑は、和歌山県高野山の奥の院にある石碑である。
この石碑は、中国西安にある碑林博物館所蔵の「大秦景教流行中国碑」を、イギリスの宗教学者エリザベス・アンナ・ゴルドン夫人が忠実に再現して、模造碑として明治44年(1911年)に建立したものである。
高さ3.6m、幅1.5mの黒色石灰岩の石碑で、亀趺(亀状の石碑の台)の碑座に建てられている。
ゴルドン夫人は、仏教とキリスト教の根本は同一であるという「仏基一元」の研究者で、高野山奥の院に仏基一元を具現化するため景教碑を建立したといわれている。
景教碑の横には、大正14年(1925年)に京都で死去したゴルドン夫人の墓石がある。
自らの遺志で奥の院に埋葬されたもので、正面には「英国イエ(EA)ゴードン夫人之墓」、側面には、「密厳院自覚妙理大姉」と刻まれている。
781年、唐の長安の大秦寺に立てられた大秦景教流行中国碑は、ネストリウス派のキリスト教が、唐代に中国に流行した状況を記した記念碑で、キリスト教の東方伝道に関する貴重な資料として知られている。
ゴルドン夫人の墓石東側には、顕蔭師塔(顕蔭法師供養塔)がある。
南海高野線高野山駅からバスで「奥の院口」下車、徒歩10分。国道371号線沿いに参拝者用の無料駐車場がある。