神田地蔵堂は、和歌山県かつらぎ町の神田(こうだ)の里にあり、町石道の112町石の近くのお堂である。
神田の里には、丹生都比売神社に米を献納する神田があった。
この地蔵堂は、平安鎌倉時代の高野参詣の人々の休憩所として使われた歴史があり、堂内には弘法大師像、子安地蔵、応其上人像が安置されている。
紀伊続風土記には、「東高野街道往還にあり」と記されている。
昭和時代初期にも、この堂で参詣者がお茶の接待を受ける習俗が残っていたといわれる。
高野山多聞院の縁起には、滝口入道(斎藤時頼)を慕った横笛が出家し、天野の里に草庵を構えて住んだところと書かれている。
高野山への参詣には、この地蔵堂の前を通るため、横笛は此処まで出向いて、滝口入道に会える機会を願ったといわれる。
その際、横笛が高野山に登る僧に託した次の歌が知られている。
「やよや君 死すれば登る高野山 恋も菩提のためこそなれ」
南海高野線上古沢駅下車、徒歩約1時間。→ 高野山町石道を登る