上賀茂の社家 西村家庭園は、京都市北区の西村家別邸にある庭園である。
江戸時代、上賀茂神社の社領は二千五百石余と言われ、この社領を背負った神官たちが、上賀茂神社の東、明神川の流れに沿った社前に家を構えたのが社家町である。
敷地内の低い母屋を土塀と門が囲み、庭や生け垣の緑が、明神川の流れとともに独特の景観を形成しており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
保存地区の中央にある錦織家の旧宅(現在は西村家別邸)は、現存する社家の中では最も昔の面影をとどめる庭園が残っている。この庭は、養和元年(1181年)上賀茂神社の神主藤木重保が作庭したものといわれている。
庭内へは明神川の水を取り入れ、曲水の宴のための小川の水としたあと、もとの明神川に返す工夫がされている。神事の前の身を清めたゆかりの井戸、神山(こうやま)の降臨石を形取った石組みなどが残っている。
家屋は、西村家八代目清三郎が明治三十年代建て替えたものである。
京都市指定名勝庭園となっており、毎年3月15日から12月8日まで公開されている。
京都市バス上賀茂神社前下車、徒歩5分。(Y.N)