西行庵は、奈良県吉野山奥の千本にある史跡である。
鎌倉時代の初めの頃、西行法師(佐藤義清)が俗界を避けて、この地にわび住まいをした所と伝えられている。
佐藤義清は、京都の皇居を守る北面の武士であったが、23歳で世をはかなんで出家した。
白洲正子は、西行が吉野へ籠ったのは、待賢門院璋子への思慕から解放されるためであったと書いている。
西行は諸国を回り多くの和歌を詠んでおり、吉野山では次のような和歌が詠まれた。
とくとくと落つも岩間の苔清水
汲みほすまでもなきすみかかな
吉野山去年の枝折のみちかへて
まだ見ぬ方の花をたずねむ
吉野山花のさかりは限りなし
青葉の奥もなほさかりにて
吉野山梢の花を見し日より
心は身にもそはずなりにき
苔清水は、西行庵から200mほど離れた場所にある。
近鉄吉野線吉野駅からバスで奥千本口駅下車、徒歩15分。(Y.N)