苔清水は、奈良県吉野山の奥の千本にある。
西行庵の北東200mのところにあり、岩間から苔の中を流れる清水は、やまとの水31選に選ばれている。
16世紀に書かれた「吉野旧記」には、「とくとくと落つる岩間の苔清水 汲みほすまでもなき住居かな」と西行が詠んだと記されている。
後に松尾芭蕉が訪れて「野ざらし紀行」に次のように書いている。(芭蕉DB)
「西上人の草の庵の跡は、奥の院より右の方 二町計分け入ほど、柴人のかよふ道のみわづかに有て、さがしき谷をへだてたる、いとたふとし。
彼とくとくの清水は昔にかはらずとみえて、今もとくとくと雫落ける。
露とくとく心みに浮世すゝがばや
若これ扶桑に伯夷あらば必ず口をすゝがん。もし是杵(許)に告ば耳をあらはむ。」
苔清水の横には、「春雨のこしたにつたふ清水哉」(松尾芭蕉 笈の小文)の石碑がある。
近鉄吉野線吉野駅からバスで奥千本口駅下車、徒歩15分。