国史跡 高安千塚古墳群 俊徳丸鏡塚古墳(大窪・山畑27号墳)は、大阪府八尾市にある。
6世紀に造られた直径15m、高さ3.8mの円墳で、内部は右片袖式の横穴式石室である。
高安千塚古墳群の中で構造・規模共に典型例となるものである。
また当地は謡曲弱法師(よろぼし)、浄瑠璃摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)の舞台となった俊徳丸伝説の地である。
中世以降の俊徳丸伝承がこの古墳と結びつき俊徳丸鏡塚古墳と呼ばれるようになった。
伝説によると俊徳丸は高安の信吉長者の子で、継母のために呪われて病を患い、盲目となって四天王寺の境内で物乞いをする身となった。
高安の蔭山長者の娘は、これを聞いて四天王寺に参り、俊徳丸を尋ねあてた。
観音にその本復を祈願したところ、たちまち効験があって病が治り、二人は夫婦となって蔭山長者の家を継いで幸福に暮らした。
謡曲弱法師では、高安の左衛門尉(さえもんのじょう)通俊(みちとし)が、盲目の俊徳丸を探し出し、高安に連れ帰る物語となっている。
日本画家で身体障害者の社会復帰に力を尽くした大石順教尼(1888-1968)の依頼で、
實川延若(じつかわえんじゃく)(二代目)や松本幸四郎(七代目)、尾上菊五郎(六代目)など著名な歌舞伎役者が寄進した焼香台や手水鉢、灯篭の竿石がおかれている。
俊徳丸が摂津の四天王寺に通ったという道は、俊徳道(街道)と呼ばれている。
平成27年に、高安千塚古墳群の大窪・山畑支群内の一基として、国史跡に指定された。
近鉄信貴線服部川駅から徒歩5分。