龍之渡井は、和歌山県紀の川市にある小田井用水の水路橋である。
小田井用水の工事で一番苦心したといわれるところで、穴伏川の谷を跨いで水路橋が架けられている。
この龍之渡井は、18メートル余りの川幅を両岸の岩盤を利用して支え、中間に一本の支柱も使わずに木製の掛樋(かけひ)を通したことで知られている。
現在の施設は、大正8年(1919年)に改修されたレンガ石張り造りアーチ橋で、上部盛土部に三和土(土・石灰・ニガリの混合物)を用い、表面は自然石で覆われている。
小田井用水には、龍之渡井以外にも明治から大正時代にかけて改修された水路橋(小庭谷川渡井、木積川渡井)とサイホン(中谷川水門)がある。
これらの4カ所の施設が、平成18年4月に和歌山県内の土木構造物では初めて、登録有形文化財となっている。
JR和歌山線西笠田駅下車、徒歩10分。