富田林寺内町は永禄年間(1558-1569)初期に、興正寺の門跡証秀上人が、富田の荒芝地を銭百貫文で取得し、
近くの4か村の庄屋株各2人、計8人に興正寺別院の建立と畑屋敷、町割などの建設を要請したのが始まりとされている。
町内は南北6筋、東西7町の道路で整然と区画され、下水路を完備していた。
周囲には竹藪のある土居をめぐらし、外部からの出入りは一里山口、山中田坂、向田坂、西口の4ヶ所に限られていた。
早くから自治的都市特権を得て、町政の運営には年寄役となった8人が当たった。
今も寺内町には往時を忍ばせる17世紀中頃から明治にかけての町家が多く、町そのものが文化的遺産であるとして、平成9年10月に重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
興正寺別院(富田林御坊)は、真宗興正派興正寺(本山京都)に所属する寺院である。
本尊は、阿弥陀如来で、脇檀には親鸞聖人御影、聖徳太子、七高僧、証秀上人が祀られている。
本堂前に富田林開基証秀上人紀念碑がある。富田林村が繁栄の地となったことに対し、村民が上人を讃えて建立した。
山門はもと伏見桃山城の城門の一部で、京都本山興正寺に寄進されたものを当地に移築したものである。
この山門(城門)の故に、門前の道筋は城之門筋と呼ばれて、日本の道百選に選ばれている。
4月14日には開基祭、11月14日には親鸞聖人の報恩講が行われる。
近鉄長野線富田林駅富田林西口駅下車、徒歩5分。