丹生川上神社中社は、奈良県東吉野村小(おむら)にある神社である。
丹生川上神社は、奈良県吉野郡に鎮座し、現在、上(かみ)、中(なか)、下(しも)の三社に分かれている。
東吉野村にある丹生川上神社は、水神宗社と呼ばれ、第40代天武天皇の時代 白鳳4年(675)創祀で、
祭神は罔象女神(みずはのめのかみ)で、水利水運、山林耕作農業に関する水一切を司る水神である。
また、雨師の神として、旱天続きの降雨には黒馬を、長雨の止雨には白馬を捧げ、朝廷から96回の奉幣を数え、絵馬発祥の神社でもある。
社殿の背後には小牟漏岳(おむろがだけ)と呼ばれる原始林があり、本殿に覆いかぶさるように杉の巨木が茂っている。
古事記によると、雄略天皇4年(460)に天皇が小牟漏岳で狩を行い、御呉床に座っていると、蚊が天皇の腕を喰った。
その瞬間、蜻蛉が飛んできて、その蚊をくわえて飛び去った。
天皇は、蜻蛉をほめて歌を詠み、この地を蜻蛉野(あきつの)と名付けたという。
み吉野の 袁牟漏が嶽に 猪鹿伏すと 離れそ 大前に奏す やすみしし 我が大君の
猪鹿待つと 呉床に坐し 白栲の衣手著そなふ 手腓に 蚊虻かきつき その虻を
蜻蛉早咋ひ かくの如 名に負はむと そらみつ 倭の國を 蜻蛉島とふ
小牟漏岳に続く山上に、神武天皇が上小野の榛原、下小野の榛原と名づけて皇祖天神を祀った「鳥見霊時跡」がある。
10月16日には太鼓台奉舁(ほうよ)安全祈願祭である小川祭りが斎行される。
村内の8ケ大字から8連の大太鼓台が繰り出し、豪壮な乱舞が見られる。
神社の裏山には、ツルマンリョウの自生地があり、国の天然記念物に指定されている。
近鉄大阪線榛原駅からバスで蟻通下車すぐ。参拝者用の無料駐車場がある。