露(つゆ)天神社(通称「お初天神」)は、大阪市北区曾根崎にある神社である。
創建以来一千三百年の歴史を持つ古社で、曾根崎・梅田地域の総鎮守として崇敬を集めている。
創建年代は定かではない。
社名の起こりは、菅原道真公が、筑紫に流される途中、この辺りを通った時霧が深いのを見て詠んだ歌「露と散る涙に袖は朽ちにけり都のことを思い出づれば」にちなんで名付けられたとされている。
通称のお初天神は、近松門左衛門の人形浄瑠璃戯曲「曾根崎心中」のヒロインの名に由来する。
内本町の醤油商平野屋の手代徳兵衛が、曽根崎新地天満屋の遊女お初と恋仲になったが、これを平野屋の主人にとがめられ、気の向かない結婚を迫られた。
徳兵衛は、結婚を拒み、お初を誘って元禄16年(1703年)4月7日に当社の曽根崎の森で心中した。
この実話をもとに、曾根崎心中が書かれ5月7日に近松作の人形浄瑠璃が上演され、それ以降お初天神と呼ばれるようになった。→ 本覚山 久成寺 曽根崎心中 お初墓所
「曽根崎心中」の心中の道行及び曽根崎森の場で、次の義太夫節が語られる。
「此世のなごり夜もなごり 死にゝ行く身をたとふれば あだしが原の道の霜 一あしづゝに消えてゆく 夢の夢こそあはれなれ
あれかぞふれば暁の 七つの時が六つなりて のこる一つが今生の、鐘のひゞきのきゝおさめ 寂滅為楽(じゃくめついらく)とひゞくなり
(中略)
誰(た)が告ぐるとは曽根崎の、森の下風音にきこえ、とりつたえ、貴賤群集(きせんぐんじゅう)の回向のたね
未来成仏うたがひなき、恋の手本と成りにけり」
境内にはお初徳兵衛の石碑とブロンズ像が建てられている。また、2013年にはプロポーズにふさわしいロマンチックなスポットとして恋人の聖地に選定された。
JR大阪駅から徒歩約10分。